ウィルスと数字

 

5時閉店なので夕焼けを見る機会が増えたことが嬉しいです。

 

ウィルスであるCOVID-19のもうひとつの正体。それは「数字」なんだと最近思いました。
感染者数、検査数、死亡率はもとより、経済損失、収入減、人との距離、支援金、移動自粛率、休業期間、自粛期間、失業率、倒産数、そして様々なお金の話。
ネットでも新聞でもTVでも、メディアで語られるのは、すべて「数字」の話しです。

 

どの数字にも意味があり、とてもとても大事なものだと思うのですが、発表される数字が全て信用できるともいえず、結局のところ、数字の話ばかりではどれもしっくりこないのです。

 

当たり前ですが、私達の暮らしは数字では表せない様々なもので成り立っています。
当たり前ですが、大切な人への愛情を数字で表すことが出来ません。
当たり前ですが、昨日食べた料理の美味しさを数字にすることに大した意味はありません。
そんなことより、愛しているよ、大事だよ、美味しかったよ、そんな簡単な言葉のほうが「数字」よりもずっと心に届くはず。

 

しかしCOVID-19の話では、数字の話ばかり。
おそらく現代社会の最も顕著な情報はすべて数字やデータであり、それをもとに専門知識や科学、そしてAIなどのIT技術がこれからの社会を動かしていくのだろうと思います。盛んに議論されている出口戦略なる指標もまた数字の世界となるでしょう。
でもたぶん、これから私達はその数字の中にある本当に大切なもの、そしてその数字の先にあるものこそ、きちん見据えていかなければ、大切なものを見失ってしまうのではないかという気がします。

 

「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばん大切なことは、目に見えないんだよ」
星の王子さまの言葉は、いつも優しく私達を諭してくれます。

 

「数字」の持つわかりやすさ、そしてわかりにくさも含め、そこで考えを止めてしまってないけないのだろうと思うのです。
心で見る感覚をお互いに持ち合うことが、人々の友情や信頼を育み社会を作るはず。
今私達が感じているこの社会のギスギスした空気は、そうした心で見る視点の欠如や不足が大きな原因になっているような気がします。
と同時に、多くの人がそうした優しさが見えてこないことに、失望し、傷ついているのではないかと想像してしまいます。
ウィルスが体の正常な機能を壊すように、社会や人々の心もまた蝕まれつつあるという危機感を強く感じてしまいます。

 

この騒動は永遠には続かないでしょう。
しかしウィルスの驚異や、様々な事故や災害、病気、そして争いごと、そんな数々の驚異に私達の生活や命が常にさらされているという事実はこれからも続くでしょう。それは今に始まったことではなく、人類の永遠の課題です。
どれもすぐに答えは出なくても、少しでも良い方向へ向かうため、これからも人々は前を向き続けるでしょう。
そして、この悲劇を超えて、世界は変わるのかもしれません。
きっと変化は必要でしょう。
でもどう変わるべきなのか、それは目前の数字だけでは見えてこない大切なものがあることも忘れたくないものです。
目に見える「数字」の向こうに、心でしか見えない人間らしい希望や未来を見出すことを常の心に留めておきたい、そう感じる日々です。

author:STRADA BIANCA, category:日々のつぶやき, 20:11
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