小高い丘、オリーブ畑、糸杉の並木道・・・
 風景トスカーナはイタリアの20の州のうちの一つで、南北に長いイタリア半島のほぼ真ん中に位置します。東はアペニン山脈、西はティレニア海と、山海の豊かな自然に抱かれ、また中央部のなだらかな丘陵地帯には牧歌的な田園風景が広がり、しばしばイタリアで、ひいては世界で、最も美しい地域と言われています。


 トスカーナにはなんと6つもの世界遺産(文化遺産)があります。フィレンツェ、サンジミニャーノ、シエナ、ピエンツァの歴史地区とピサのドゥォーモ広場、そして2004年に認定されたオルチャ渓谷(Val d'Orcia)です。このうち最初の5つは日本からも毎年たくさんの観光客が訪れる世界的名所ですが、これらに比してオルチャ渓谷を訪れた日本人は多くないのでは。オルチャ渓谷一帯は小高い丘の連なりに糸杉が立ち並び、オリーブ畑やぶどう畑の間から石造りの建物が顔を出す、典型的なトスカーナの田園風景です。まさに絵はがきで見た景色がそのまま眼前に広がっているのです。そしてこれは決して手つかずの自然の姿ではありません。自然と人間の知恵とがみごとに調和し、一体となった姿なのです。その景観は何百年もの間大切に守られ、住民に豊かな恵みをもたらしてきました。


 トスカーナの州都フィレンツェは盟主メディチ家の力によってルネッサンス芸術が花開いたところですが、美しい景観や自然と調和した人々の暮らしはルネッサンスの芸術家たちにもさまざまなインスピレーションを与えたに違いありません。ボッティチェッリの代表作として有名な『春』の神々の足下に描かれた草花はすべて実際にトスカーナに自生するものだそうです。レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』や『モナリザ』の背景にも、トスカーナの風景が描かれています。


 もちろんトスカーナの魅力は田園地帯ばかりでなく,美しい海岸線や島、山岳地帯、中世の都市、芸術的遺産など、本当にバラエティ豊かです。それぞれの街毎に個性があり、人々は地元に強い愛着と誇りを持っています。
author:, category:トスカーナについてのお話, 22:09
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