体験農園に参加してからもう3年になります。
体験農園とは私の住んでいる国分寺市の農業振興事業のひとつで、一般市民にも農作業を体験してもらうことにより、農業に対する理解を深めてもらい、また市内の農地を保護し、都市における農業を育成、振興させることを目的に、農家の方のご協力を得て行われているものです。(国分寺市だけでなく、都内の他の市区でも行われているようです。)
私が畑仕事に興味を持ったきっかけは、イタリアに住んでいた頃食べた野菜たちの味が、日本の野菜とは全く違っていたことです。
私は新宿区で生まれ、文京区で育ち、子供の頃から田畑や大自然の風景に触れることは殆どありませんでした。野菜と言えば、スーパーでパックされて売っているもの、と思っていたのです。そんなお行儀の良い無個性な野菜たちに何の疑問も持たずにいました。
しかし、イタリアに暮らしはじめたとき、フィレンツェの中央市場に行って驚きました。形の不揃いな、元気いっぱいの野菜たちが木箱に無造作に積み上げられています。しかしながら色彩の組み合わせなど八百屋のおやじさんたちなりにしっかりと計算されているようで、そんな所にもイタリア人の美的センスを感じてしまいました。そしてどれも量り売り。当時はまだリラで、1kg当たりの価格の安さに感激しながら、躍動感あふれるトマトやルコラやジャガイモやマッシュルームを買い求めました。
フィレンツェの街で
イタリア料理はとてもシンプルです。野菜は茹でたり、また生のままで、塩こしょうとオリーブオイルをかけて食べるだけで、もう感動もののおいしさでした!何故?そう、野菜の味が濃い!日本で食べていたあの日陰のもやしみたいなもの(もやしに失礼)とは全く別物なんです。野菜自身の味がしっかりしているので、味付けはシンプルでもおいしいんですね。
でも私は自分のうんと幼い頃を思い出しました。その頃はまだ商店街があって八百屋さんがあったな、量り売りしてかごにお金を入れてたな・・・幼い頃食べたにんじんやピーマンは匂いがきつくて苦手だったな・・・。いつから野菜はみな同じ大きさになって、工業製品のようにパックされて売られるようになったんだろう。
帰国し、自然に親しめる環境を求めて、国分寺市に住むことに。この辺りはまだ畑が多く、農家の方が畑の片隅でとれたての野菜を販売しています。新鮮で、おいしくて、しかも安い! なるべくスーパーではなく、直売所で野菜を買うようになりました。そんなある日、市報に出ていた「体験農園」の参加者募集の記事。農業の”の”の字もわからない初心者にもできるということで、早速参加することに決めました。そう、何よりもおいしい野菜が食べたい一心だったのです。